俺の全国縦断トラック野郎伝説といくつかの小話を混ぜたイモ焼酎

俺がトラックに乗り始めた理由なんて、たかが知れている。中卒だからだ。学歴がない。

そんな男にできる仕事なんてトラックしかないだろう?だから俺は大型の免許を取ったのさ。

金は、まあ、前の嫁が、最後に「嫁」だったときに俺のポケットにこっそりと突っ込んでったんだ。俺はその金で、大型免許を取った。

 

なぜなら俺は稼がなくちゃいけなかった。

なんせそのとき前の嫁は腹がでかかったんだ。

つまり俺の子供を妊娠してた。だけどあいつは出ていった。

酒に溺れてた俺への制裁か?そんなことを思うくらいは今は冷静だが、当時はそうじゃなかった。

毎日酒を飲んでは、前の嫁に酒を買って来させてた。正直な話だ。俺は、他にも女がいたんだ。

そのとき。なんせ前の嫁が妊娠していたから。

俺は前の嫁に、手を出しちゃいけないと、他の女を選んだ。それが間違いだったのかもしれない。

あいつは子供ができてから、生まれてくる子供のことを考えてたんだ。

俺は自分のことしか考えてなかった。

 

あいつはいろいろ考えてたんだろう。このままでいいのか。とか。生まれてくる子供のこととかを。

俺は俺で前の嫁に気を使って女を作ったつもりだった。それがあいつの心をズタズタに引き裂いたんだろう。

あいつはもう昔みたいに笑わなくなっていた。笑わなくなっていたんだ。子供が腹にできてから。

それすら気が付かないくらいに俺は酒に溺れてた。

俺はそうやって大型免許を取った。

 

次は働く会社だ。これはすぐに決まった。中学時代から世話になっていた先輩がやっていた会社だった。

初めてわっぱを回して行ったのが稚内だってのも笑えるだろう?「わっぱ回し」が「稚内」だぜ?笑えねえか。

稚内に行って思ったよ。

この仕事ほど面白え仕事はないって。

俺はどんな仕事でも受けた。

北は北海道から南は九州まで。

新潟にもいったし、鳥取にもいった。

 

だが、一番思い出に残ってるのが、新潟よ。

そこで俺は、娘が産まれたことを聞いたんだから。

あんときはびっくりしたよ。

俺も男兄弟だし、親父も男兄弟だし、じいさんも男兄弟だった。

まさか自分の子供が女だなんて思ってなかったから、女だって聞いたときは、なにがなんだかわかんなかったよな。

俺は今すぐに会いたいと思ったが、なんせ新潟にいたもんだから、すぐに会いに行くわけにもいかなかった。

ただ新潟での仕事をやっちまって、それから、生きて家まで帰らなくちゃいけなかったからな。

さすがの命知らずな俺もあんときばかりは、生きて帰らなくちゃと思ったな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です